Protozoa
「原生物」シリーズは、山本が従来の描画法を用いて新たに創出した作品群であり、生命と非生命の境界にある不定形な「モノ」を描いている。紺青色の画面に浮かぶ形象は、微生物のようにも石粒のようにも見え、創造者の心象ではなく、客観性を帯びた他者として画面に存在する。それらは主観から切り離された「冷徹な抽象」として現れ、観る者のまなざしを促す。他者の眼で自作を見つめ、「純粋な美の自立」を目指す試みでもある。シュルレアリスムが無意識に頼ったのに対し、山本は作品そのものを「トランス」させ、偶発的で無意味な形象の連なりによって、意識の外側に美を立ち上げようとする。彼の制作は、まさに絵画における実験である。


